「香水で頭が痛くなる私」が、福岡の香水専門店を5店舗ハシゴしてきた話

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「香水が苦手」なのではなく、「自分に合う香り」にまだ出会えていなかっただけだった。

満員電車でふわっと漂ってくる強い香水の匂い。デパートのコスメフロアに長くいると、なんとなく気分が悪くなる感覚。そんな経験から「自分は香りが苦手な体質なんだ」と、ずっと思い込んでいませんか?

実は、私もそのひとりでした。

お店の空間づくりやお客さんに喜んでもらえる仕掛けを考えるマーケターとして仕事をしていると、「香りがどれだけ人の行動や感情に影響するか」を日々感じます。それなのに、自分自身は香りのことを何も知らない。そのギャップをどうしても埋めたくて、ある日「香水屋さんをハシゴする」という無謀な計画を立てました。

案の定、途中でダウンしました。

  • クロモリユウキ(マーケター) お店の空間づくりや、お客さんに喜ばれるイベント、集客の仕掛けを考える専門家。「なぜ人はそのお店を好きになるのか」を日々分析している。
  • オノリカ(一級アロマテラピスト) 香LIGの運営責任者であり、香りのスペシャリスト。植物の香りが心や体にどんな影響を与えるのかを知り尽くしている。
取材日2026年4月21日〜
取材店舗4店舗(福岡市内)
取材クロモリユウキ(マーケター)
取材協力2026年4月21日The Abram Aroma ShopAesop 福岡Diptyque 福岡EDIT(h)
2026年4月22日CARTA(カルタ)福岡旗艦店
写真撮影クロモリユウキ(マーケター)
※撮影許可を頂いております。

目次(クリックでジャンプ)

  1. 1|「香水で頭が痛くなる」という悩み、実は多くの人が持っていた
  2. 2|それでもなぜ、苦手なのに香水屋さんへ行ったのか
  3. 3|【店舗別・取材レポート】天然由来の香りのお店で、何が違ったのか
  4. 4|取材でわかった「香りが苦手だった人」に向く、天然由来の香りの選び方
  5. 5|【番外編】香りが苦手な方が店舗に行く前に知っておくと安心なこと
  6. おわりに|「香りが苦手」だったのではなく、「自分に合う香り」にまだ出会えていなかっただけかもしれない

1|「香水で頭が痛くなる」という悩み、実は多くの人が持っていた

「香水が苦手」と感じたことがある方は、意外と多いのではないでしょうか。強い匂いが漂う空間に長くいると気分が悪くなる、電車の中で他の人の香水が気になってしまう——そんな経験が積み重なって「自分は香りが合わない体質だ」と決めつけてしまっている方もいると思います。

でも、本当にそうなのでしょうか。私自身の失敗談から振り返ってみます。

1日で複数の香水店をハシゴしたら、途中でダウンした話

「お客さんが今どんな香りを求めているのかを知りたい」

そんな単純な動機から、私はある日デパートのコスメフロアから始まり、専門店までいくつものお店を1日でハシゴしました。

最初のうちはよかったんです。知らないブランドの香水を次々と嗅いで、「へえ、こんな香りがあるんだ」と純粋に楽しんでいました。でも、3〜4店舗目を過ぎたあたりから、急に頭が重くなってきて。

気がついたら、外に出ても鼻の中に残った匂いから逃げられない感覚になっていました。結局その日は体調が悪くなり、調査を途中で中断することに。

「やっぱり自分は、香りが苦手な体質なんだ」とそのとき思いました。

「香りの種類や強さ」が、自分に合っていなかっただけかもしれない

でも、あとから振り返ると、ひとつ気になることがありました。

おしゃれなセレクトショップや、空間にこだわったカフェに入ったとき。あそこでは、いい匂いが漂っていても、頭が痛くなったことはほとんどない。むしろ「ずっとここにいたいな」と思うくらい、心地よかった。

「香水のお店では気分が悪くなるのに、あのお店では大丈夫だった。この違いはなんだろう?」

その疑問が、今回の取材の出発点になりました。複数のお店のスタッフさんにその話を正直に打ち明けてみると、「香りそのものが苦手なのではなく、香りの種類や強さが合っていなかっただけかもしれませんよ」と、どのお店でも同じようなことを教えてくれました。


2|それでもなぜ、苦手なのに香水屋さんへ行ったのか

一度ひどい目に遭ったのに、また香水屋さんに行こうと思ったのには、理由があります。「香水のお店では気分が悪くなるのに、おしゃれなカフェやセレクトショップの香りは心地いい」というギャップが、どうしても頭から離れなかったからです。この矛盾を解消したくて、今度は作戦を立て直して再挑戦することにしました。

「いい匂いのお店では頭が痛くならない」という矛盾が、ずっと気になっていた

前回の失敗から少し経ったころ、ふと思い立ちました。

「デパートで気分が悪くなったのは、たくさんの香りが混ざり合った場所に長時間いたからかもしれない。天然由来の香りを専門に扱っているお店では、違う体験ができるんじゃないか」

そこで今度は作戦を変えて、「自然由来の香りをメインに扱うお店」に絞って、改めて訪問してみることにしました。

結果から言うと、正解でした。

複数のお店を回って、たくさんの香りを嗅いで。それでも一度も、頭が痛くなりませんでした。

「わからないんです」と正直に言ったら、プロが全部教えてくれた

最初の店舗に入るとき、少し緊張しました。私は男性で、香水については完全な素人です。女性のお客さんが多い空間に、一人で乗り込む気まずさもありました。

でも、正直に「こういうの全然わからないんです」と伝えた瞬間、スタッフさんの表情がパッと明るくなりました。

「そう言っていただける方が、ご提案しやすいんですよ」

その言葉で、一気に肩の力が抜けました。どのお店でも「わからない」と伝えるほど、丁寧に、ひとつひとつ教えてもらえました。香水屋さんというのは、わかっている人のための場所じゃないんだと知りました。


3|【店舗別・取材レポート】天然由来の香りのお店で、何が違ったのか

今回訪問したのは、の5店舗です。

2026年4月21日The Abram Aroma ShopAesop 福岡Diptyque 福岡EDIT(h)
2026年4月22日CARTA(カルタ)福岡旗艦店

どのお店も「天然由来の香り」を大切にしているという共通点がありながら、コンセプトも接客も、提案してくれる香りとの向き合い方もまったく違いました。それぞれのお店で起きたことを、素人目線でそのままお伝えします。

イソップ(Aesop)福岡|スキンケアの延長で香りを楽しんだら、一度も頭が痛くならなかった

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お店訪問レポート 体験済み
福岡 イソップ
福岡市中央区天神
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店内に入った瞬間、お香のやわらかい香りに包まれました。いわゆる「香水のお店に入った」という感じではなく、どこか落ち着いた空間です。

スタッフさんに「以前、香水店をたくさん回って体調が悪くなった」と正直に話すと、こんな言葉が返ってきました。

「それ、実はよくお聞きするんです。一般的な香水で頭が痛くなる方が、辿り着いてくださるブランドなんですよ、私たちは」

イソップは、天然の精油のみで香りを作っています。スプレーで強く香らせる前に、まずはスキンケアで体験してみてほしいと勧めてもらい、ボディ用スクラブを手で試させてもらいました。

泡立てて洗い流すと、ゼラニウムのやわらかい香りが漂いながら、手がスベスベになっていました。「香水をつける」という気構えではなく、「いつものスキンケアがいい香りだった」という感覚に近い体験です。

その後、香水もいくつか試しましたが、ユズとバジルを使った「タシット」も、ヒノキをベースにしたウッド系も、どれも長時間嗅いでいて「鼻に残る重さ」がありませんでした。

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香水を選ぶための「茶室」があった

スクラブを体験したあと、スタッフさんに「せっかくなので、こちらへどうぞ」と案内された先に、小さな個室がありました。武家屋敷をコンセプトに設計された店舗だそうです。

落ち着いた照明、静かな空間。まるで茶室のような雰囲気のその部屋で、香水を一本一本ゆっくりと試させてもらいました。

「香水を選ぶって、こんなに落ち着いた体験なんだ」と、正直驚きました。デパートのコスメフロアで何十種類もの香水を慌ただしく嗅ぎ比べていたあの日とは、まるで別世界です。慌てなくていい、急かされない、ただ自分の感覚だけに集中できる空間。

写真で見ると伝わるかと思いますが、この「一対一で香りと向き合う」という体験そのものが、すでに特別な時間でした。香水選びを「買い物」ではなく「体験」として設計しているイソップらしい演出だと、マーケターとして素直に感服しました。


CARTA(カルタ)福岡旗艦店|「その土地にしか生息しない植物」という言葉で、初めて香りが欲しくなった

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お店訪問レポート 体験済み
CARTA(カルタ)福岡旗艦店
福岡市中央区六本松
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六本松を散歩していて、ふらっと立ち寄ったお店です。入った瞬間に「めっちゃいい匂いする!」と声に出てしまいました。

むき出しの鉄骨を使った内装が、とにかくスタイリッシュです。「バカかっこいい」という言葉しか出てきませんでした。

店内で特に惹きつけられたのが、すべてオリジナルで作られているルームスプレーです。スタッフさんが「これは福岡市の市木『クスノキ』を使っています」と教えてくれながら、嗅がせてくれました。スーッとした清涼感のある、ウッディな香り。

「これは鹿児島県の喜界島という、サンゴが隆起してできた島でしか採れない柑橘を使っているんです」

そう説明してもらったとき、何かが変わりました。「柑橘系のいい匂い」ではなく、「あの島で育ったミカンの匂い」として、その香りが立体的に感じられたんです。普段、出先でお土産をほとんど買わない私が、この日は無性にそのスプレーが欲しくなりました。

お店には、ルームスプレー以外にも、うちわをモチーフにしたパッケージのハンドクリーム、和紙に漆をコーティングしたディフューザー、お香、さらにはレモングラスのお茶まで並んでいました。「香りって、飲むこともできるんだ」と、素直に驚きました。

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蒸留器で抽出したハーブティーを飲んだら、これが本物の味だった

「あちらに蒸留器があるんですよ」とスタッフさんに教えてもらい、店内の奥へ。ガラスと金属でできた蒸留器がありました。

機械好きとしては思わず「かっこいい……」と声が出ました。危うく香水より蒸留器が欲しくなるところでした。

写真のとおり、実際に稼働しているその機械で、植物から成分を抽出したハーブティーを飲みました。

飲んだ瞬間の感想は「これ、本物の草の味がする」です。市販のティーバッグのような「ハーブ風味」ではなく、植物そのものをそのまま液体にしたような、クリアで澄んだ味わい。カップルが「歯磨き粉の後に水を飲んだ時みたいなスースー感がある」と言い出し、もう一人が「いや、ちゃんとお茶の味だよ!」と全力でツッコミを入れていて、店内が一瞬笑いに包まれました。

「香りを飲む」という体験は、鼻だけでなく全身で香りを受け取るような感覚でした。

アロマの専門家・オノリカさんによる解説 「植物から抽出された香りには、その土地の土壌・水・太陽のエネルギーがそのままギュッと濃縮されていると考えます。クスノキやケラジミカンの香りを嗅ぐことは、福岡や島の豊かな自然の風景を、ご自宅の部屋の中にパッと広げることと同じなんです」


ディプティック(diptyque)福岡|「直感でいい匂いと思ったやつが、今のあなたに必要なもの」

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お店訪問レポート 体験済み
ディップティック 天神
福岡市中央区天神
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男性スタッフの方が多いお店でした。「男性同士で真面目に香水の話をする機会なんて、人生でほとんどなかった」と思いながら、正直に「選び方が全然わからない」と伝えました。

すると、まず「一番人気の香りからお出しします」と言って出してくれたのが「オーデサンス」です。嗅いだ瞬間はピンクペッパーのようなスパイシーさがあり、少し経つと石鹸のような清潔感のある香りに変わっていきました。「これ、万人に受けそうだな」と素直に思いました。

「フィロシコス(イチジクの香り)」には、ボトルのラベルに創業者3名がイチジクの姿として描かれているという話を聞き、思わず笑ってしまいました。ブランドの遊び心が愛おしい。

「34(サーティフォー)」というシリーズは、フランス・パリにあるディプティック本店「サンジェルマン通り34番地」の空気を、分子レベルで分析・再現した香りだと教えてもらいました。「空間の空気をそのまま持ち帰れる」という発想が、マーケターとしてもとても刺さりました。

そして帰り際に、あるスタッフさんがこんな言葉をかけてくれました。

「直感でいいんですよ。頭で考えないで、直感でいい匂いと思ったやつが、今のあなたにとって必要なものなんです」

男の私でも、正直、胸にきました。あとでアロマのプロに話すと「それ、科学的にも大正解なんです。体調や心の状態によって『いい匂い』と感じる香りが変わるので、直感こそが正しい選び方なんですよ」と教えてもらい、二度感動しました。

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実はあの「リッツカールトンの香り」だった

フィロシコスを実際に嗅いだとき、「あれ、この香り、どこかで……」と記憶の引き出しが一斉に開く感覚がありました。

スタッフさんに正直に話すと、「そうなんです。リッツカールトンのアメニティに、このフィロシコスが採用されているんですよ」と教えてもらいました。

その瞬間、記憶がフラッシュバックしました。以前、リッツカールトンに泊まったとき、バスルームのボディウォッシュを使って「なんていい匂いだろう」と思ったあの感覚。あれがこれだったんです。

写真を見てもらうと、スタッフさんにフィロシコスのボディローションを手に塗ってもらっているシーンがわかると思います。肌に馴染んだ瞬間、脳の中でリッツカールトンの高級な浴室が再現されました。思わず「ついにリッツの女になりました……!」と口から出てしまい、スタッフさんと大笑いになりました。

香りは記憶と直結している、と頭では知っていましたが、あの瞬間ほどそれをリアルに体感したことはありませんでした。

「34(サーティフォー)」というシリーズは、フランス・パリにあるディプティック本店「サンジェルマン通り34番地」の空気を、分子レベルで分析・再現した香りだと教えてもらいました。「空間の空気をそのまま持ち帰れる」という発想が、マーケターとしてもとても刺さりました。

そして帰り際に、あるスタッフさんがこんな言葉をかけてくれました。

「直感でいいんですよ。頭で考えないで、直感でいい匂いと思ったやつが、今のあなたにとって必要なものなんです」

男の私でも、正直、胸にきました。あとでアロマのプロに話すと「それ、科学的にも大正解なんです。体調や心の状態によって『いい匂い』と感じる香りが変わるので、直感こそが正しい選び方なんですよ」と教えてもらい、二度感動しました。


The Abram Aroma Shop|「香水は誰かのためにつけるもの」をやめたら、香りとの付き合い方が変わった

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The Abram Aroma Shop
福岡市博多区古門戸町
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このお店で印象的だったのが、「ウェイクアップ」と「スリープ」という香りの存在です。朝、交感神経を刺激して目を覚ますための香り。夜、副交感神経を優位にして眠りを助ける香り。

「香水って、誰かに良く見せるためにつけるものだと思っていた」という先入観が、ここで完全に崩れました。

自分の体のリズムを整えるために使う、というアプローチです。「誰かのため」ではなく「自分の体のため」。そう考えると、香水が苦手だと思っていた自分でも、「これなら使えるかもしれない」という気持ちになりました。

また、「365日のバースデーアロマ」という商品もあり、誕生日の占いからインスパイアされた香りを選べます。自分へのご褒美にも、大切な人へのプレゼントにも使えるという体験設計に、マーケターとしてうなってしまいました。

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蒸留したての香りと、ブレンドしたての香りを嗅いだ

このお店でもう一つ、忘れられない体験がありました。

スタッフさんが「せっかくなので、これを嗅いでみてください」と見せてくれたのが、蒸留したアロマです。鼻に近づけた瞬間、「生きてる植物の匂いだ」と思いました。市販のアロマオイルとも、香水とも違う、植物がそのまま息をしているような、みずみずしい香り。

続いて、その場でブレンドしたばかりのアロマも嗅がせてもらいました。複数の精油を合わせてすぐの状態で、まだ香りが「なじんでいない」粗削りな印象があるのですが、それがかえってリアルで面白い。「香りは時間とともに変化する」と言葉では聞いていましたが、ブレンド直後と数分後で香りが変わる様子を目の当たりにしたのは、初めての体験でした。

「香水って完成品を買うものだと思っていたけど、ここでは香りが育っていく過程を見せてもらえるんだな」と感じた瞬間でした。

EDIT(h)(エディット)|「朱肉会社」から生まれた、日本人の日常に溶け込む香り

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エディット 天神店 EDIT(h) Tenjin
福岡市中央区天神
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「他のお店とは少し違う切り口の香水屋さんがある」と聞いて訪問しました。店内に入ると、派手さのない落ち着いた空間に、香水・練り香水・そして「ハット」という見慣れないアイテムが並んでいます。実際に手に取って香ることができる商品だけが置かれている、セレクト感のあるお店でした。

最初に目を引いたのは、ブランドの背景でした。スタッフさんが教えてくれたのは、EDIT(h)が1905年創業の朱肉ブランド〈日光印〉から生まれたということ。現在、日本で「朱肉」を製造している会社はわずか2社しか残っていないそうで、そのひとつから生まれた香水ブランドだと聞いて、思わず「え、朱肉から?」と声が出ました。

「印鑑を押すための朱肉と、香水。まったく関係ないようで、実はものづくりへの姿勢でつながっているんです」というスタッフさんの言葉が、じわじわと刺さりました。

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「重たい香水が苦手な人」に刺さるライトさ

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一番人気と聞いて試したのが「ローズモヒート」です。名前を聞いた瞬間は「ローズ?甘そう……」と少し身構えましたが、実際に嗅いでみると想像とまるで違いました。バラの甘さがモヒートのさわやかさで見事に中和されていて、「あ、これなら男性でも全然使えるな」と素直に思いました。スタッフさんも「男女兼用でお使いいただく方が多いんですよ」と教えてくれました。

続いて試した「アールグレイ」は、ミルクティーのような穏やかな甘さで、嗅いでいても「頭が痛くなる気配がない」という不思議な心地よさがありました。全体的に香りが軽くスッと消えていく感じで、強い香りが苦手だった自分にはとても合っていると感じました。

「外国の香水って重たい感じがして苦手で……」と正直に話すと、「日本のTPO——食事の席や仕事中でも香りが邪魔にならないよう、あえてライトに設計しているんです」という答えが返ってきました。香水が苦手だった理由が、また少し腑に落ちた瞬間でした。


4|取材でわかった「香りが苦手だった人」に向く、天然由来の香りの選び方

5店舗を巡って気づいたのは、「香りが苦手だった人」ほど、入り口の選び方さえ変えれば、香りとの付き合い方がガラッと変わるということです。スタッフさんたちが共通して教えてくれたことを、3つの原則に整理しました。

選び方①|「天然由来(自然由来)」を入口にすると、香りへの苦手意識が変わりやすい

今回回ったお店のスタッフさんたちが、共通して教えてくれたことがあります。

「天然の植物から作られた香りは、体にすっと馴染んで、自然に抜けていきます。お花を嗅いで頭が痛くなる方って、あまりいないですよね。それと近い感覚です」

「香りが苦手」と感じていた方の多くが、実は「強い香りが苦手」なのであって、香り全般が苦手なわけではないかもしれません。天然由来の香りを入口にすることで、まったく違う体験ができる可能性があります。

選び方②|まずスプレーを使わなくていい。スキンケアの延長で試す方法

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日焼け止めとフェイススクラブ

「香水をつける」というと、スプレーをシュッと吹きかけるイメージがあります。でも今回の取材で気づいたのは、それ以外の方法がたくさんあるということです。

  • ボディスクラブ・ボディウォッシュ:お風呂の中で使う。洗い流しながら香りを楽しめる
  • ハンドクリーム:手に塗るだけ。日常のケアとして自然に取り入れられる
  • ルームスプレー:自分ではなく、空間に香らせる。寝る前にお布団にひと吹きするのが人気
  • お香・ディフューザー:部屋の空気を整えるような感覚で使える

「いきなり香水はハードルが高い」という方は、まずスキンケアや空間から試してみるのが、いちばんストレスの少ない入り口です。

選び方③|「誰かのためにつける」から「自分がリラックスするためにまとう」へ

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天然香料から作られたアロマとスプレー

今回の取材を通じて一番大きかった気づきは、「香水の目的が変わってきている」ということです。

かつては「誰かに良く見られるため」「印象を残すため」につけるものでした。でも今は、「寝る前に自分がほっとするために」「好きな空間の空気を手元に置いておくために」という、完全に自分のための使い方をしている人が増えている。

周りの目を気にして「香害になったらどうしよう」と躊躇してきた人ほど、「自分だけのリラックス時間に使う」という発想に切り替えると、香りとの距離がぐっと縮まります。

5|【番外編】香りが苦手な方が店舗に行く前に知っておくと安心なこと

「行ってみたいけど、また気分が悪くなったら……」という不安がある方のために、今回の体験から得た実用的なヒントをまとめます。事前に知っておくだけで、お店でのハードルが一気に下がります。

複数のお店を回るなら「天然由来のお店」から先に試すのがおすすめ

今回の失敗から学んだ最大の教訓です。

強い香りがたくさん混ざり合う環境に長時間いると、嗅覚が疲れてしまいます。天然由来のお店からスタートすることで、鼻への負担が少なく、より多くのお店をゆっくり楽しめます。

鼻が疲れたときのリセット方法。コーヒー豆を出してくれるお店もある

いくつかのお店では、たくさんの香りを嗅いで鼻が疲れたときのために「コーヒー豆」が用意されていました。コーヒーの強い香りを嗅ぐことで、嗅覚をいったんリセットできるんです。

「店内でちょっと疲れてきたな」と感じたら、スタッフさんに遠慮なく声をかけてみてください。

「わからない」と伝えるほど、スタッフは丁寧に教えてくれる

今回、どのお店でも共通して感じたことです。

「香水のことが全然わからないんです」と正直に伝えると、スタッフさんは決して困った顔をしません。むしろ、「それなら一番人気から試してもらいましょうか」「どんなシーンで使いたいですか?」と、こちらのペースに合わせて丁寧に案内してくれます。

知識があってもなくても、気後れしなくて大丈夫です。

おわりに|「香りが苦手」だったのではなく、「自分に合う香り」にまだ出会えていなかっただけかもしれない

5店舗を回り、たくさんのスタッフさんと話して、一級アロマテラピストの知見に触れて。この取材を終えた私が、一番伝えたいことをまとめます。

今回の取材を終えて、「香水=頭が痛くなるもの」という思い込みは完全になくなりました。

自分に合う香りというのは、探せばちゃんとあって。それを「わからない」と言いながら探しに行ける場所が、今の香り専門店だということも知りました。

一日の終わりに、寝る前のお布団にルームスプレーをひと吹きする。それだけで、見慣れた寝室がちょっとだけ特別な空間になります。たったそれだけのことですが、なんとなく気持ちが整う感覚があります。

「香水は特別な日に気合を入れてつけるもの」という固定概念は、もう手放してしまっていい気がします。

もし今「自分は香りが苦手かも」と思っている方がいたら、一度だけ、天然由来の香りを扱うお店のドアを開けてみてください。「わからない」とそのまま伝えれば、きっと丁寧に迎えてもらえます。

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